2022年12月11日の話(45) 煙草その5

煙草その5
おばちゃんの優しさに 後ろめたさを感じながら どーにかライターを手に入れた 僕たちは煙草を開けた
香りを嗅ぐと 頭がとろんとしたような 気がしたが 『いい匂いだね』 なんて強がった。
煙草を取り出して 口にくわえ 火をつけるのだが 火がつかない、、、
なぜ?
それはそうである 息を吸いながら 火をつけないと 煙草は燃焼しないのだから
何本か失敗した後
ついにようちゃんが 火をつける事に成功した 吸い込んだ煙にむせながら 僕に煙草が回ってきた 恐る恐る煙を吸い込むと
その瞬間、、、‼︎
思いっきりむせて この世がこの世でなくなった
グルグルと頭が回り 体に力が入らない 気持ち悪い感覚が しばらく続いた
もう一度煙草が回ってきた あんまり吸いたくなかったが さっきより軽く煙を吸い込むと クラクラらするが さっきより感覚が 楽になったような気がした
それからしばらく 僕らは集まると煙草に 火をつける遊びを 楽しんでいた
がそのうち飽きて 煙草が再び登場するのは 中学生になってからだった
悪さをする事は ドキドキするものである それを友達も一緒なら 悪さの意識も薄れる
確かに法律では 未成年が煙草を吸うのは 絶対ダメな事だ
けど青春の1ページには 必ずそういったシーンが 登場するものである
誰かを傷つけたり 物を盗んだり 裏切ったり
人としてやってはいけない事
それは法律以上に大切なことが この世にはある (もちろん未成年の煙草は×) 誰しも持っている そんな青春の1ページ。
煙草を吸って 家に帰った 少年学生の僕は 大人の階段を登った気が していた。
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